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見たことないものにたどり着けたら―芸人・ネゴシックスの現在地|『SOUP』スペシャルインタビュー

2026/07/25

Soupful編集部

ネゴシックス インタビューサムネイル画像

放送開始から5年目を迎えたTSKの情報番組『SOUP(スープ)』。2026年4月より番組の顔としてMCに加わったのが、島根県安来市出身の芸人・ネゴシックス。山陰への思い、イラストレーターの仕事、芸人として今だからできること…。10年来、ともに仕事をしてきたアナウンサー・平川翔也が、芸人・ネゴシックスの“いま”を、たっぷりと聞きました。

SOUPで届けたい“おもしろい”瞬間

平川アナとにこやかに対談するネゴシックスさん

平川:4月から『SOUP』のMCを担当していただいているわけですが、旧番組の『ヤッホー!』以来4年ぶりに山陰の情報番組のMCをされてみてどうですか。

ネゴシックス: SOUPは情報番組だから、肩肘張って笑かしますっていうわけではないけど、僕がこれまでお笑いで培ってきたものがあるから、それをちょっとまぶせればいいな、おもしろい瞬間があればといいなと思いながらやっているかな。

平川:そういえば、娘の保育園の送り迎えのときに、先生や他の保護者に「SOUP最近ネゴシックスさん入られてますよね。これまでと違う感じでいいですよね」ってよく言われるんです。うちの妻も「ネゴさん、おもしろくていいよ」って。

ネゴシックス:おー、そう。いいって言ってくれてる?

平川:結構多いですよ。というか、そういうことしか言われないです、僕。

ネゴシックス:僕の周りでは、誰も言ってくれないですよ(笑)。
でもうれしいですね。SOUPはロバートの馬場裕之さんと山根千佳さんが番組初回からMCをやっていて、途中からMCに僕が加わるってなかなかないじゃないですか。僕が入ることで、ちょっとでも良い変化があったらいいなとは思っていたんですけど、そういう声をいただけたなら幸いですよ。

山陰は今も一番気になる場所

笑みを浮かべるネゴシックスさん

平川:ネゴさんって、島根県安来市に生まれ、青春時代を過ごして。島根から羽ばたかれて、今の拠点は東京だと思いますけど、もう何年なんですっけ?

ネゴシックス:19歳のときに地元を出て、大阪に8年いて、東京が20年になるかな。もう出てからの方がずっと長いけど、今でも地元って一番気になる場所ですからね。

平川:そういうものですか。

ネゴシックス:何年たっても山陰が気になる。もう染みついて、染み込んでるんですよね。洗っても取れない。落ちない。やっぱ地元で人格形成されたわけですから。10代の頃に浴びてきたものってすごいと思う。今でも方言、瞬間的に出るし。

テレビは“勝手に流れてくる”から強い

平川:今はテレビよりネットの時代だなんて言われていますが、取材で色々なところに行って、山陰はまだこのテレビの良さみたいなのが残ってるなって思うんです。山陰の、特に中山間地域の方たちなんかは、テレビに近所が映るとめちゃくちゃうれしいんですよ、この現代でも。

ネゴシックス:やっぱテレビは勝手に流れてくるっていうのがすごいと思っていて。ネットのコンテンツですごい数の登録者がいても、好きな人しか巻き込めない。でもテレビって関係ない、気にしてない人たちまで耳に届かせて、関心を持っていくことができる。

結婚して見えた、普通の視聴者の感覚

驚いた表情を見せるネゴシックスさん

ネゴシックス:例えば僕は「M-1」なんてめちゃくちゃ熱心に見てる。でも妻は、あんまり本気でテレビ見てないんですよ。芸人仲間とだけいた頃は気づかなかったけど、結婚して、世の中の人ってこれぐらいの感覚で見てるんだってすごく分かった。でもゼロじゃないんですよね。本当におもしろいネタには「ふふん」って笑ってるから。

平川:確かにその感覚は、一人でいたらわからないことですね。

ネゴシックス:結婚して、新しい風が吹いてきてよかったと思います(笑)。
そこまで真剣に見ているわけじゃない人たちも振り向かせることができるのが、テレビならではですよね。
SOUPは情報番組だから色々な人が見ている。全員は難しいかもしれないけど、皆さんにいいなって思ってもらえる感じで立ち振る舞えればなって思いますね。

いつの間にか広がっていったイラストレーターの仕事

平川:話は変わりますが、やっぱネゴさんといえばイラストすごいじゃないですか。最近だと『華大さんと千鳥くん』のセットとか。

説明をするネゴシックスさん

ネゴシックス:2011年に東日本大震災があって、仕事がなくなったんだよね。芸人みんな仕事がないから、麒麟の川島さん達4人ぐらいで集まって、ちょっと絵を本気で描いてみるかって話になって。で、描いて見せ合ったら「いいね」って、みんなが後押ししてくれた。「じゃあ描きためてみます」ってことで描いていたら、依頼が増えていった感じなんですよ。

平川:そういう流れなんですね。

疲れずに没頭できるものが伸びていく

ネゴシックス:「ロゴをお願いします」とか「セットお願いします」って依頼が来るようになって、僕自身が「マジでいいんだ」って驚きですよ。
お笑いの場合、自分が発したギャグがいくらで売れてるのかはよく分かんないけど、イラストは、こんなに求められるんだとか、いくらで依頼してくれるんだみたいなのが明確になる。
じゃあイラストに全精力注いでみようってなって、どんどん広まっていった感じかな。イラストの仕事がこんなに伸びるなんて、はじめは思ってもみなかった。
お笑い一筋でやりたいと思っていたけど、イラストの仕事が伸びてきて、その結果番組やらせてもらえることもでてきたりね。

胸に手を当てながら話すネゴシックスさん

ネゴシックス:だから何か一つのことを伸ばしまくれば、自然とそれに沿った仕事になっていくというか。中ぐらいをたくさんやっても中途半端で終わるんで。自分が疲れないで没頭できるものやってたら、ぐーっと伸びていくと思いますね。

平川:今のいい言葉ですね。「疲れないで没頭できるもの」って。
もともと絵を描くことは、ネゴさんにとって日常的なものだったんですか。

高校時代に描いた、原点ともいえるギャグマンガ

ネゴシックス:昔はネタで挿絵をちょろっと入れるくらいで、本腰入れて描いてはいなかったかな。高校の頃に漫画描いて応募したけど、すぐ落選で返ってきた。『グラサン先生』っていうギャグ漫画。

平川:読んでみたいんですけど。内容はどんな。

ネゴシックス:もう見てらんないくらいひどい(笑)。
グラサンかけた先生が竹刀持って、「遅刻だー!」ってバンっと竹刀振り下ろして頭からまっぷたつにしちゃう。「ルーズソックスなんか履いてくるなー!」って言って頭をパカーンって。バイオレンス入ってるじゃん。そりゃ落選するわ。

爆笑するネゴシックスさんと平川アナ

平川:今聞いてる感じ、おもしろそうですけどね(笑)。

ネゴシックス:ひどいギャグ漫画だからね。でも、そういう分かりやすいのが好きかな。繊細なことができないんですよね。器用に食レポとかできない(笑)。

ネゴシックスの言葉の奥にある熱量

平川:芸歴で言うともう何年ですか。

ネゴシックス:26年かな、27年。
20代の頃は自分がやれることあんまり分かってなかったけど、今は「自分がマジでやれることはこれだ、好きなことはこれだ」っていうのを掛け合わせてやれるだろうなと思う。だから山陰で、今のこの年齢のネゴシックスという芸人の、全部をひっくるめた塊がやっていると思ってもらえれば。

平川:それって最高じゃないですか。
以前の情報番組も含めて、ネゴさんとはもう10年ぐらいのお付き合いになるんですけど。意外とこういうお話ってしたことありません。

ネゴシックス:確かにないですよ。

平川:でもネゴさんめちゃくちゃ「あっちー」っすね。もう普通の「熱い」じゃなくて、「あっちー」っていう。

ネゴシックス:その熱で料理できそう?

平川:できそうです(笑)。
僕が最近感じるのは、会社に毎年若い人が入ってきますけど、落ち着いてる人が多い印象です。すごくいいことだと思うんですよ。冷静に物事を考えて一歩引いて見ることができるから。反面、気持ちだけで突っ走って、ときに空回りしちゃうような人はあんまりいなくて。

語る平川アナ

ネゴシックス:あ、そうなの。いないのかぁ。

平川:僕はそういう人、好きなんですけどね。

自分の可動域を知るために動いてきた

ネゴシックス:年代的なものかも。体で実感しないと分からないことってあるけどね。お笑いでいうと「これってすべるのかな、どうなんだろうな」って思いながら、勢いで「わーっ」て出ていってみたら、すべっちゃったみたいな。
「あ、これはだめなんだ」って、肉体を動かしてやってみないとわからない。自分の可動域を知りたいと思いながら、散々動かしてきたんで。こういうところが熱いのかな?

手を大きく振りかざしてツッコむネゴシックスさん

ツッコミにも「チューニング」がある

ネゴシックス:ツッコミもね、起きた現象に応じたボリュームでツッコまないといけないんだけど、デビューしたばかりの20代の頃は、何かあれば大声でツッコもうとして。でもその過程を経たほうがいいと思うんですね。自分の声の大きさのウケ具合が分かんないから。チューニングというかね。

SOUPのチームで、見たことのないものにたどり着きたい

平川:なるほど。だから若い20代の人たちにも、色々やってみてもらったほうがいいなっていう思いですね。例えば若い人たちに、この予算でどんな企画をするかって聞いたら、思いもよらないものが出てくるかもしれない。
何年も経験していると「多分できないだろうな」って知っちゃってるからやらないけど、知らないからこそ思いつくことがあるかも。

ネゴシックス:その思いついた企画書を書かせてみたい。「なんだこれは」っていう企画書、見たいよね。
これまでなかったものができていくって僕めちゃくちゃ好きで。だから新しいものを取り入れて、ほかにない感じにどんどん仕上がっていけばなと。何か見たことないものにたどり着くんじゃないかなっていうね。SOUPのチームでそこに一緒に行けたらおもしろいなと思いますよ。

自然にあるものをおもしろく。遊覧船の船頭のように

平川:MCとして、その舵取り役になるのがネゴさんですもんね。

ネゴシックス:くるくるくる。(舟をこぐ真似をしながら)

舟をくるくる漕ぐまねをするネゴシックスさん

平川:船頭タイプのネゴさん。いいですね、汗かいてる感じで。

ネゴシックス:松江城の堀川遊覧船みたいな。ときには低く低く、ときにはコタツに入るようなね。

平川:いいコンセプトじゃないですか。堀川遊覧船のような番組。

ネゴシックス:ものすごいことを成し遂げましょうっていうんじゃなくて、自然にあるものがちょっとおもしろい感じになればいいよね。
自分がテレビを見て、「えー本当か?嘘つけ」って感じるものは作りたくない。正直すぎるのも良くないんだろうけどね。
もとからそこにあるものをベースにしながら、エンターテイメント性のあるもの。それがこの山陰で、SOUPで、できたらいいですね。

「洗っても取れない」と語った地元への思い。「疲れないで没頭できるものを続ければ伸びていく」という仕事論。そして「見たことないものにたどり着きたい」という未来への視線。彼の言葉からは、穏やかな語り口の奥にある熱量が垣間見えました。その熱がSOUPという番組でどうなっていくのか、ネゴシックスのこれからにご注目ください。

この記事のライター
Soupful編集部
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Soupful編集部
WebマガジンSoupful(スープフル)の企画・編集担当。
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